2018年10月7日日曜日

ケットー君とカボック君


ケットー君とカボック君
さく すぱろう 
 
 
 
ケットー君はチョット未来の血糖測定器。
 

  
様々な機能が搭載されたケットー君。 
そんな彼の一番の自慢は頭に付いた未来のセンサー。 
指を挟んで60秒。
 
何と未来の血糖測定器は血を一滴も出さなくていいのです。

彼はこの未来の技術で人々の健康な生活を守っていたのでした。
 
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ある時、ケットー君は過去の人達が針で血を出さないと血糖値を測れないのを知って大層驚きました。
 
「僕が過去に行ってみんなを助けよう! 針が痛くて泣いている人達を笑顔にしよう」
 
ケットー君はそう言うと、簡単な身支度を済ますと意気揚々と旅立ちました。
 
大きな川も、急なガケも、ケットー君は難なく越えて進んでいきます。
そんな事くらいで彼の気持ちが萎える事はないのです。
 
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しばらくすると果てしなく大きな壁が現れました。
 


これはいわゆる時間の壁。
 
足元に小さな穴が開いている他は通れるところはないようです。
 
この壁の向こう側には目指す過去の世界があるのです。
 
ケットー君がその穴を覗いてみると
針が痛くて泣いている子供の声や、消毒が充分でなく、傷口からバイ菌が入って苦しんでいる人達が見えたのでした....
 
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ケットー君は焦りました。
 
慌てて穴を拡げようとしましたが、いくら未来の機械でも、時間の壁を崩すのは容易なことではありません。
 
彼はしばらく考えると
自分の体の部品のいくつかを使って、未来の機能のいくつかを受け継いだ彼そっくりの小さな分身をつくりはじめました。


 
そして分身がすっかり出来上がると、
その小さな分身にカボック」と名前を付けました。
 
ケットー君は、その小さくて自分そっくりの分身に、自分の頭に付いていた自慢のセンサーを取り付けながら言いました。

 
「カボック君、ボクはしばらくの間、この穴を拡げなくちゃならない。だからその間、君が先にあの世界に行ってくれないかい?」
 
カボック君は目をぱちくり。
ケットー君はニッコリ笑って続けました。
 
「カボック君、君はボクみたいに血糖値は測れないけれど、未来の数値、カボック値を測る事が出来る。それで困っている人達を助けてあげて欲しいんだ。」
 
「うん分かった!」
 
カボック君は元気にそう答えるとクルリと向き直り、その小さな穴を易々と潜り抜けていきました。
 
「頑張って。」

ケットー君はいつまでもカボック君の後ろ姿を見つめていました。

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彼の名前はカボック君。
少し未来の測定器。
 
ケットー君の熱い想いを引き継いで、
彼の冒険が始まります。

 
 
Fin


(・ω・)y
  
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